2023年4月16日日曜日

TYOVサンプルキャラクターのその後3

 『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』でサンプルとして作成したキャラクター、八五(はちご)が与一(よいち)となり、嘉吉の乱前夜に播磨を出てから長い長い年月が経ちました。

34回目で【啓示】は68番の1つ目――彼の不死の生もそろそろ終わるでしょう。

時は江戸時代の宝永年間(西暦1704~1710年)。吸血鬼になってから実に520年の歳月が過ぎています。



播磨から信濃に落ち延びた与一は不死者の諏訪頼重と再会します。
彼とは鎌倉末期の元弘の乱では敵対関係で、与一は彼の太刀で受けた傷が今も胸に残っているのですが、それも今や昔です。

与一は頼重が提供してくれた守屋山中の隠れ屋敷に潜みます……が、そこで意図せず100年の眠りについてしまいました。

目覚めれば世は戦国。愛する冬氏の消息もわからなくなっています。
これに悲憤慷慨した与一は怒りと哀しみで冬氏にまつわる記憶を失いました。

一方、100年後の頼重は同姓同名の戦国武将になっています。
彼は与一を諏訪家に迎え入れます。不死者同士で協力できれば何かと好都合です。武田が侵攻してきて信濃を平定した際も、頼重は諏訪大社の大祝、諏訪満隣(みつちか)、与一はその息子の諏訪与一頼忠(すわのよいちよりただ)になることでやり過ごしました。

このように信濃では、それなりにうまくやっていたのですが、残念ながら織田の甲州討伐で敗走。次に与一が身を寄せたのは、当時勢力拡大中の伊達家です。

仙台では異形の力を見込まれて片倉家に預けられ、一時的に片倉与一を名乗ります。
ところが地震で片倉の屋敷が倒壊。地下の寝所に閉じ込められて、また長い年月が経ってしまいました。

その後、埋まった与一を掘り出したのは、与一を手駒にしようと考えた伊達兵部(宗勝)です。
彼の庇護下に置かれた与一は伊達騒動にかかわることになるのですが、こちらを道具のようにしか扱わない兵部に好感を持てず、忍従を強いられました。

とはいえ、どんな気に入らない相手でも、不死の与一からすれば瞬く間に消え去ります。
『伽羅先代萩』の素材にもなった伊達騒動とその余波も癒え、新たな藩主の伊達吉村が仙台入りし、彼から土佐に流されて死んだ兵部の遺品整理を命じられます。

与一は遺品から「得子の香袋」を取り戻しました。
どうしても石巻に土地が欲しくて、仕方なく代償に兵部に差し出していたのです。

そして香を嗅いだ与一は思い出しました――そもそも“与一”とは兄弟同然に育った若者で、物怪になった自分が殺したことを。

自分には名前を変える機会が何度もあり、実際、変えてきたにもかかわらず、なぜ“与一”という名を手放そうとしなかったのか?
その理由にようやく思い至りました。あらゆる過去がおぼろげになった、今になって……。

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