2018年6月3日日曜日

200ワードRPG『PROXIMA』和訳

2015年から毎年開催されているWeb上での公募コンテスト「200ワードRPGチャレンジ」は、今年の応募が締め切られて現在選考中です。
このコンテストの応募作品はすべて公開で、まず最終選考作品50作に絞られ、その中から優勝が選ばれます。名称どおり応募作品は英語で200ワード以内の超ミニマムなゲームでなければなりません。

200ワードRPGチャレンジ:https://200wordrpg.github.io/

先日、締め切り直前にインディ・ゲームデザイナーのJ.ウォルトン氏が『PROXIMA(プロキシマ)』というゲームを同コンテストに投じました。これが興味深い、とても面白そうな内容でしたので、和訳してみました。作者の許諾も得られましたので公開したいと思います。
残念ながら「英語で200ワード内」というレギュレーションを日本語では再現できないのですが……。おおよその文章量は保てたと思います。
以下が、その訳です。
(※更新:作者のウォルトン氏から日本語版カバーをいただきました。Thank you, Mr. Walton!)




PROXIMA/プロキシマ

あなたのキャラクターは現在とさほど変わらない環境を模した、遠い未来の宇宙船内で働いている。キャラクターに名前とコールサイン、想像上の来歴や性格、日々の生活を設定しよう。

現実の日常から以下のような経験を取り上げ、それをキャラクターの生活の中で起きた出来事であるかのようにソーシャルメディアに投稿する:驚異、失望、歓喜、疑念、苦労、快癒、罪過、記憶、交友、暴露。

各投稿には「PROXIMA」とラベルを付け、日付も年+月+日+時の数字をつなげてたものを記す。例えば「201805270908」というように。ソーシャルメディア内の検索用にタグを2つ、3つ付けたり、他の参加者が現れることを期してゲーム・ルールへのリンクを貼ることも自由に行ってよい。

ゲーム内のフィクションとしては、宇宙の広大さゆえに投稿したメッセージが他人に届くまでには長い時間がかかる。機会があればいつでも(数週間、数ヶ月間、数年間の空白があったとしても)、新たな投稿をしてかまわない。他のプレイヤーのプロキシマ投稿に返信するのも自由だ。あなたは常に同じキャラクターをプレイするが、時間の経過とともに成長したり、変化したりしたことにもできる。

Inspired by "One Missed Call" by +Caroline Hobbs.

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PROXIMA日本語PDFはこちら


ウォルトン氏は様々なインディRPG、ストーリーゲームのデザインや、ゲームアンソロジーの編纂を行ったキャリアを持つ才人です。映画『エイリアン』のようなサバイバルSFホラー・テーマの『GEIGER COUNTER: GAMMA』、ファンタジーRPG『Dungeon World』用のサプリメント『PLANARCH CODEX』など、いろいろなゲームや関連書をお書きになっています。
彼の作品にはフビライ・カーンと女忍者(愛人として後宮に潜入している)の対話がモチーフという摩訶不思議な『Kazekami Kyoko Kills Kublai Khan(5K)』や、義和団内の女性諜報・戦闘組織「紅灯照」を扱った『RED LANTERNS』もあり、中国の文化や歴史にお詳しいようです。紅灯照は手塚治虫の『一輝まんだら』で主人公が所属することになった団体として登場しましたね。

ウォルトン氏のサイト『CORVID SUN』:http://www.jwalton.media/

『PROXIMA』は未来SFテーマで、SNS投稿を前提としたユニークなものです。
オンライン上かつテキストベースで行う同様のゲームは前例があるのですが(Eric Nieudan氏の『SOMETHING GLOBAL』、D.Vincent Baker氏の『A Doomed Pilgrim in the Ruins of the Future』)、こちらゲームは「プレイヤー自身の日常をフックにテキストを書く」、「期間と投稿頻度を問わない」、「SNSによる拡散とリプライによるルール制限がほぼ皆無なコミュニケーション」が特徴的です。

1投稿を長めに書くことができるG+利用を前提としているようですが、ツイッター等でも可能なゲームでしょう。
どんなふうに動かせるのか、試してみたいですね。

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