2023年4月18日火曜日

『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』キャラクターシート拡張版

先日までプレイしていたサンプルを踏まえ、Googleスプレッドの『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』キャラクターシートを拡張しました。

基本構成は変わりませんが、できるだけ行挿入で新たな欄を作らなくても済むように、各項目の記入欄を増やしています。
また暫定的なものですが、ジャーナリングゲームで日誌を付ける(各【啓示】ごとに文章書く)ための「日誌」シートも追加しました。

よろしければコピー、またはダウンロードして、ご自由にお使いください。



■〈記憶〉
・記入欄の〈体験〉3つを納める欄を点線で区切って増設。
・「備考」欄を増設。

ルール上、〈記憶〉記入欄(I~V)それぞれには〈体験〉を3つまで収められます。
それを点線で区切って×3したのは、〈記憶〉を失った場合も訂正線(Googleスプレッドでは取り消し線)で打ち消し、記録に残しておかなければならないためです。

「備考」は【啓示】で「〈体験〉を作成しない」といった指示があった時などに使ってください。

〈記憶〉を線で打ち消し、同じ記入欄に別の〈体験〉を追加していったり、「備考」欄を使った例は、サンプルキャラクターのプレイ例でのシートをご覧ください。


■〈日記〉
・2つ目、3つ目の日記を増設。

現在の〈日記〉がなくなれば、次の〈日記〉を持てるので、あらかじめ〈日記〉欄の数を増やしました。

「現在持っている〈日記〉があるうちは、別の〈日記〉を持てない」ルールに注意してください。
つまり【啓示】で〈日記〉を失うか、〈資産〉を失う時に〈日記〉を選んで打ち消さなければ、次の〈日記〉は持てないのです。

また〈日記〉に移すのは「〈記憶〉記入欄まるごと」であることにも注意。
たとえば〈記憶〉記入欄IIに〈体験〉2つが収められているとして、その2つのどちらかだけを〈日記〉に移すことはできません。必ず2つとも〈日記〉記入欄I~IVの空いている欄に移します。

〈記憶〉記入欄IIの〈体験〉2つを、〈日記〉記入欄Iに移したとしましょう。
そうすると〈日記〉記入欄Iには〈体験〉1つ分の空欄ができますが、そこにはもう何も移せません。
〈日記〉への移動は〈記憶〉単位で行われ、ひとつの〈日記〉には〈記憶〉4つまでしか収められないのです。

そのため、できる限り多くの情報を〈日記〉に収めたいなら、〈体験〉3つで満杯になった〈記憶〉を移したいところですが……タイミング次第で、そうできないこともあるでしょう。


■〈技能〉〈資産〉〈人物〉
・足らなくならないように、それぞれの欄を増設。

〈刻印〉欄の数は前バージョンのままです。


■日誌

「回数」はダイスを振って【啓示】に進んだ数です。
1回目から50回目まで用意しています。

「【啓示】」には進んだ【啓示】の番号を記します。
【啓示】には複数の記載があるので、たとえば【啓示】2番の1つ目に進んだ場合は「2/1」とか「2-1」といったふうに記入するとよいでしょう。

そして「日誌」に【啓示】に答えて展開した物語を記します。
当然ながら書き方は自由です。画像を貼り付ける等してもよいでしょうね。
単純にクイックゲームでのメモとして使うのもありだと思います。


以上です。

【啓示】によっては〈記憶〉記入欄そのものが追加されるなど、特異な内容のものもあるため、これでも手を加えなければならない可能性は残りますが、さほど困らず使えると思います。

それではTYOVのプレイをお楽しみください!

2023年4月17日月曜日

TYOVサンプルキャラクターの最終回

  『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』でサンプルとして作成したキャラクター、八五(はちご)は、諏訪与一頼忠(すわのよいちよりただ)として生涯を終えました。

36回目、【啓示】77番の1つ目[36/77/1]が最後の〈体験〉です。

前回から、もう少し生きながらえるかな? と思ったのですが、ダイスの出目で一気に【啓示】番号が進み、ゲーム終了の指示が下されました。



“与一”にまつわる過去の記憶を取り戻した頃、与一は平泉で飯沼助宗に再会します。

彼と遭うのは鎌倉時代末期以来です。
思えば、与一が強大な不死者“得子様”と誰かの間に生まれた子だという情報をもたらしたのは助宗でした。そして彼もまた得子の子で、ふたりは「得子の香袋」を奪ったり、奪い返したりしたのです。

かつて京の人々を賑わせた美丈夫の検非違使は、今や修験者姿で、疲れ果てた目をしていました。

ふたりの不死者は重ねてきた罪業と、この世への未練のなさを語り合います。

助宗の見立てでは「得子の香袋」の中身は反魂香ではないか? とのこと。しかし一度死んだ、魂なき異形である与一と助宗に反魂は無意味です。助宗は少しばかり香を焚いたことがあるそうですが、何も起きなかったとか。では、誰か黄泉帰らせたい者はいないか? 脇屋義助のように復活するかもしれない、と考えても、与一には、そして助宗にも、そうしたい人は最早ないのでした。

いろいろ話した結果、ふたりは陸奥山中に隠棲することを決めます。が、あらかじめやっておきたいことがありました。
「得子の香袋」をできる限り集めて、すべて焚いてこの世からなくすことです。

後生大事に持ち続けた者にとってまったく役に立たたない香。それは得子という大妖怪の悪意の顕れに思えました。
ふたりは「得子は褒姒(ほうじ)ならん――人が相争い、苦しむを見て童女がごとく笑う」と言い交わします。与一と助宗は香袋の香を焚くための香炉を用意しました。

そして集めた香を――自分たちの物を含めて香袋4つしか見つかりませんでしたが――富士山麓で焚くことにします。

時に宝永4年(西暦1707年)――富士の宝永大噴火が起きます。

その後、ふたりは幕末まで陸奥山中に隠れ忍んで生きていたようです。
人を餌食にするのをやめ、互いの精を吸って長らえました。与一も助宗もゆるゆると衰えていき、奥州どころか日本中が佐幕か倒幕かで揺れ動く頃、ふたり同時に塵となって儚く消えたのでした。


2023年4月16日日曜日

TYOVサンプルキャラクターのその後3

 『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』でサンプルとして作成したキャラクター、八五(はちご)が与一(よいち)となり、嘉吉の乱前夜に播磨を出てから長い長い年月が経ちました。

34回目で【啓示】は68番の1つ目――彼の不死の生もそろそろ終わるでしょう。

時は江戸時代の宝永年間(西暦1704~1710年)。吸血鬼になってから実に520年の歳月が過ぎています。



播磨から信濃に落ち延びた与一は不死者の諏訪頼重と再会します。
彼とは鎌倉末期の元弘の乱では敵対関係で、与一は彼の太刀で受けた傷が今も胸に残っているのですが、それも今や昔です。

与一は頼重が提供してくれた守屋山中の隠れ屋敷に潜みます……が、そこで意図せず100年の眠りについてしまいました。

目覚めれば世は戦国。愛する冬氏の消息もわからなくなっています。
これに悲憤慷慨した与一は怒りと哀しみで冬氏にまつわる記憶を失いました。

一方、100年後の頼重は同姓同名の戦国武将になっています。
彼は与一を諏訪家に迎え入れます。不死者同士で協力できれば何かと好都合です。武田が侵攻してきて信濃を平定した際も、頼重は諏訪大社の大祝、諏訪満隣(みつちか)、与一はその息子の諏訪与一頼忠(すわのよいちよりただ)になることでやり過ごしました。

このように信濃では、それなりにうまくやっていたのですが、残念ながら織田の甲州討伐で敗走。次に与一が身を寄せたのは、当時勢力拡大中の伊達家です。

仙台では異形の力を見込まれて片倉家に預けられ、一時的に片倉与一を名乗ります。
ところが地震で片倉の屋敷が倒壊。地下の寝所に閉じ込められて、また長い年月が経ってしまいました。

その後、埋まった与一を掘り出したのは、与一を手駒にしようと考えた伊達兵部(宗勝)です。
彼の庇護下に置かれた与一は伊達騒動にかかわることになるのですが、こちらを道具のようにしか扱わない兵部に好感を持てず、忍従を強いられました。

とはいえ、どんな気に入らない相手でも、不死の与一からすれば瞬く間に消え去ります。
『伽羅先代萩』の素材にもなった伊達騒動とその余波も癒え、新たな藩主の伊達吉村が仙台入りし、彼から土佐に流されて死んだ兵部の遺品整理を命じられます。

与一は遺品から「得子の香袋」を取り戻しました。
どうしても石巻に土地が欲しくて、仕方なく代償に兵部に差し出していたのです。

そして香を嗅いだ与一は思い出しました――そもそも“与一”とは兄弟同然に育った若者で、物怪になった自分が殺したことを。

自分には名前を変える機会が何度もあり、実際、変えてきたにもかかわらず、なぜ“与一”という名を手放そうとしなかったのか?
その理由にようやく思い至りました。あらゆる過去がおぼろげになった、今になって……。

2023年4月14日金曜日

TYOVサンプルキャラクターのその後2

 『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』でサンプルとして作成したキャラクター、八五(はちご)は17回目で【啓示】28番の1つ目[17/28/1]に至りました。

自分が得子なる強大な物怪の子だと、他の不死者との遭遇で確信した八五は〈記憶〉を基に「奥州藤原氏、藤原高衡に連なる高貴な血統の持ち主である与一(よいち)」という自作自演の来歴と人格を作り上げます。もはや与一は偽名ではなく本当の名です。

この無理やりな心理操作は“与一”という人物像を作り出す基になった〈記憶〉を消してしまいました。
〈記憶〉記入欄IVで打ち消されている〈体験〉3つがそれにあたります。

以降、また別の名を使うようになるまで、彼を与一と呼びます。



与一は北条執権時代、南北朝時代、室町時代を生き抜きます。

十代半ばの姿で長らえすぎて怪しまれるようなら、しばらく身を隠し、受け継ぐべき大切な名である“与一”を名乗る嫡男として再び現れました。

南北朝時代には持明院統(北朝)側につき、独自の財力と兵力を持つ貴重な幕府の相談役、あるいは間諜として重宝されましたが、謀反の疑いがある足利直冬を偵察した折に、直冬の幼い息子、灘丸と出会い、親交を結びます。与一はそのまま播磨に居着いて反幕府に転じました。

しかし、与一は元服して冬氏となった灘丸を溺愛するあまり、彼の精を吸って不死者にしてしまいます……。

灘丸あらため冬氏は、父亡き後も幕府の追討から逃れて播磨に潜伏。
嘉吉元年(西暦1441年)、自らを「直冬の孫、冬氏の嫡男」義尊だと称して、倒幕勢力の総大将になります。

義尊(冬氏)を庇護する与一もまた播磨の陣にいたのですが、そこに彼の過去を知る人物が現れました。
脇屋義助――かつて天台山門派の高僧たちの命を受け、大覚寺統(南朝)側の武将として与一を襲った男。
とはいえ義助はとうの昔に四国で病没したはず……これは足利幕府打倒の機運に乗じて現れた怨霊なのかもしれません。

義助は与一を「持明院統、すなわち幕府に与する物怪なり」と陣内で喝破します。

元より与一の素性を疑う者はいくらでもいました。
儀助の暴露が追い打ちになって、与一は倒幕勢に身の置き場がなくなります。おまけに元は幕府側だったと知られては、愛する冬氏のそばにも居づらくなりました。

泣く泣く与一は播磨から出奔――吸血鬼になって255年の歳月が流れています。

2023年4月13日木曜日

TYOVサンプルキャラクターのその後1

 『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』でサンプルとして作成したキャラクター、八五(はちご)の生涯を少し進めてみました。

ダイスを振るのは7回目、【啓示】8番の1つ目[7/8/1]。ゲーム内では開始時から100年以上が過ぎました。
文治2年〈西暦1186年〉に吸血鬼になった八五の歩みは、正応6年(西暦1293年)、平禅門の乱からほどなくに至っています。



そろそろ彼の〈記憶〉に限界が迫ってきました。
記入欄のどれかを選んで〈日記〉に移さなければいけなくなりそうです。

八五は現在、与一と名乗っています。
武士の一党に追われて山中から逃げ延びた際に、元の名のままではいられなくなり、そう称することにしました。なぜ武士たちに追われたのかは判然としません。逃走を手引した吉郎太の様子から、八五の出生と、奥州藤原氏の壊滅に関係があるようなのですが……。

その後、平泉に潜伏していた八五は、得子という強大な不死者に出会い、彼女の傀儡として100年を過ごします。得子の指示で多くの人を犠牲にし、数々の悪事を働いて国を乱した後、ふとしたことから彼女の呪縛から逃れました。

しかし、八五はまた別の不死者から、自分が得子と誰かの間に生まれた子だという話を突きつけられます。

それは本当なのか? だとしたら、得子はおのれの子だと知っていて誘惑し、呪縛したのか? 山中の女怪・五葉は死をもたらしたに過ぎず、そもそも自分は生まれつき人外であったのか?

彼は混乱しています。

2023年4月11日火曜日

『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』のキャラクターシート例

2023年4月10日に発売となった1人用RPG『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』。

このゲームは自分の吸血鬼の生涯が記録に残るのが醍醐味です。
逐一、文章その他を記すジャーナリングゲームを選択した場合はもちろんのこと、キャラクターシートへの記入のみで、物語は“脳内で”展開させるクイックゲームでも、そこは変わりありません。

僕もさっそくサンプルのキャラクターを作り、最初の【啓示】を反映したキャラクターシートをGoogleスプレッドに置いてみました。
ご覧いただいて、何かの参考になれば幸いです。



ついで、と言っては何ですが、ブランクのシートも上げておきます。
本作はプレイログ(記録)がどんどん積み重なるので、状況に合わせて記入欄を増やしていかないといけません。あくまで雛形ですが、よろしけばファイル→コピーを作成、またはダウンロードしてお使いいただいてもけっこうです。

TYOVブランク・キャラクターシート

さて僕の吸血鬼、八五(はちご)は鎌倉時代の日本人です。
『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』の吸血鬼は、どこの出身でも(架空の世界の国でも)かまわないのですが、僕は以前に古代ローマとか海外の吸血鬼をプレイしたことがあるので、このサンプルは日本人にします。

捨子で、山中の古寺で育ち、開始時点ではおそらく16歳くらいになっている、としました。

作成後、ダイスを振ったところ、d10の出目は6、d6の出目も6。
1にゼロを足しますから、最初に向かうべき【啓示】は1番。その1つ目の記載に従います。

……結果、八五はともに寺で兄弟同然に育った〈人物〉、与一を殺します。
吸血鬼になった直後の八五は、自分を助けにきた与一を反射的に血の餌食にしてしまいました。

この〈体験〉をシートの与一にまつわる〈記憶〉記入欄IIIに追加しています。
開始して1回目に【啓示】1番の1つ目の記載に従ったことを控えておくために、冒頭に[1/1/1]と付けました。

僕は餌食になるのは与一だと決めた段階で、八五の〈体験〉を想像し、その出来事は「八五が吸血鬼と化した、まさにその直後」だと考えました。彼はほとんど意識がない状態で、飢えに駆られるまま、最も親しい存在を手に(顎に)かけてしまいます。

TYOVの〈体験〉と〈体験〉の間の時間経過は、【啓示】に指定されていない限り、プレイヤーが任意に決められます。
この場合は〈記憶〉記入欄Vに入っている〈体験〉の“直後”となります。

もし与一ではなく住職の玄淵を選んでいたら、吸血鬼の八五は寺に帰ろうにも帰れず、山中で“数ヶ月”、ひょっとしたら“数年”を過ごした後に、【啓示】1番の〈体験〉を迎えたかもしれません。

シートの記入、変更(〈人物〉の与一を打ち消しました)を終えたら、またダイスを振ります。

八五の物語は開幕から最悪の展開で始まりました。
若くして、みちのくで怪異となった彼がどんな道を歩むのか、折を見て先に進めてみたいと思います。


『サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア』キャラクターシート拡張版

先日までプレイしていたサンプルを踏まえ、Googleスプレッドの『 サウザンドイヤー・オールド・ヴァンパイア 』キャラクターシートを拡張しました。 基本構成は変わりませんが、できるだけ行挿入で新たな欄を作らなくても済むように、各項目の記入欄を増やしています。 また暫定的なものです...