『Rats in the Walls(ラッツ・イン・ザ・ウォールズ)』はフランスのAlexandre Kobayashi氏がデザインしたオリジナルTRPGです。
テーマはホラー、宇宙的恐怖……つまり日本でも人気のクトゥルフ神話もの。
ただし「ラブクラフト作品等に登場した神格や怪物を直接には扱わない」と明言されています。ルールブックに例示されている旧支配者やモンスターは、どれもKobayashi氏独自のものです。
(※『Rats in the Walls』販売ページは→こちら)
この『ラッツ・イン・ザ・ウォールズ』はクリエイティヴ・コモンズ・ライセンス BY 4.0で、テキストの多くが公開可能になっています。
そこで公開できない部分のテキストや、ロゴやイラストを外した日本語公開版を作成してみました。
オープンできないのは作者オリジナルの旧支配者、怪物、ドリームランドの解説とデータを扱った章です。面白い内容ですし、これをホラーゲームで掲載できないのは痛いのですが……。それでも必須となるルールはすべて載っているので、他のゲームからアイディアを拝借する等で、十分にプレイ可能でしょう。
下にPDFを用意しましたので、興味を持たれた方はダウンロードしてみてください。
お読みいただくと、すぐにわかりますが、このゲームは実にシンプルです。
作者によれば参考にしたシステムは『トラベラー』や『アドバンスド・ファイティング・ファンタジー(旧版)』、そして、そうしたオールドスクールなRPGの影響下に生まれた近年の海外インディRPG諸作品とのこと。クレジット部の謝辞にラブクラフトと並んでサンディ・ピーターセンの名も挙げられていますから、当然『クトゥルフ神話RPG』もですね。キャラクター・データに「正気点」というのもありますし。
『ラッツ・イン・ザ・ウォールズ』はコズミック・ホラーRPGではありますが、偉大な先行作品である『クトゥルフ神話RPG』とは少しデザイン・コンセプトが異なります。
先にも述べましたように、既存の神話作品に登場するネタを使用しないこともありますが、何よりプレイするストーリーのアウトラインを「怪異に立ち向かう」ものと規定していることです。
プレイヤーキャラクターは一般人より少し頑丈で、不可思議な事件を探索する上で有利な面を持たされています。
ただし、それは言ってみれば「ストーリー展開が行き詰まらないように主人公補正がある」ようなもので、心身の能力や強度は「並よりちょっと上」程度でしかありません。うかつに危険や暴力の中に飛び込めば、瞬く間にピンチに陥ります。
そこをどうやって困難を乗り越え、怪異のもたらす破滅から身を守り、対抗していくのか? が主眼になります。
自身の生命と正気を危機にさらしながら「怪異に立ち向かう」RPG、その怪異の例示を省いた抜粋ではありますが、どうぞ御覧ください。
特にシナリオの作り方、プレイのコツを記した「宇宙的恐怖をテーブルに」の章は、他のホラーRPGにも流用可能で、大いに参考になると思います。
2018年9月29日土曜日
2018年9月15日土曜日
ネイブ日本語版
ミニRPGルール&ツールセット『ネイブ(Knave)』は『メイズ・ラッツ』の作者、ベン・ミルトン氏の新作です。
2018年8月26日にDriveThruRPGでリリースされ、現在、同サイトでゴールドセラーになっています。
(※DriveThruRPGの販売ページは→こちら)
インディ・ゲームデザイナーとしてミルトン氏が作るゲームは『メイズ・ラッツ』もそうでしたが、基本的にミニサイズのオールドスクール・ファンタジーRPGです。そのシステムとプレイスタイルは「キャラメイク等での高いランダム性」「PC低レベル時の高い致死率」「使用回数制限の厳しい呪文」といった、古い時代のRPGが持っていたテイストを現在の視点から積極的に評価したものになっています。
そうしたオールドスクール再評価の傾向を持つゲームは別に氏の専売特許というわけではなく、特に旧版D&Dのシステムを流用した製品群は総じてOSR、オールドスクール・ルネサンス(またはリバイバル)と呼ばれています。
以前からOSR系デザイナーとして一部で注目されてきたミルトン氏ですが、今回の『ネイブ』はかなり直球な旧版D&Dベースのゲームです。
とはいえ同時に、その内容は氏独特の色に染め上げられてもいます。
・ファイター、クレリックといったクラス制を用いない。
・クラスがないので、PCに装備や呪文使用の制限もない。
・いくつかの能力値の適用範囲が変更されている。
・独自な呪文100種のリストが用意されている。
……等々、なかなか面白いです。
『ネイブ』はRPGを、特にD&Dを知っていることを前提に作られているので、そのルール記述は最低限で、分量はレターサイズのPDFで7ページしかありません。
ですが、そのコンパクトさの中に、D&D等のオールドスクール・ファンタジーRPG経験者であれば十分にプレイ可能なものは揃っています。
拙訳で日本語版を作成してみましたので、興味を持たれましたら、ご覧いただければと思います。
『ネイブ』は本文中に記載されているように、クリエイティブ・コモンズライセンス帰属で自由に改変、公開できるのですが、いちおうミルトン氏に日本語版の公開を打診して、ご本人から許可をいただきました。
Thank you, Mr. Milton!
2018年8月26日にDriveThruRPGでリリースされ、現在、同サイトでゴールドセラーになっています。
(※DriveThruRPGの販売ページは→こちら)
インディ・ゲームデザイナーとしてミルトン氏が作るゲームは『メイズ・ラッツ』もそうでしたが、基本的にミニサイズのオールドスクール・ファンタジーRPGです。そのシステムとプレイスタイルは「キャラメイク等での高いランダム性」「PC低レベル時の高い致死率」「使用回数制限の厳しい呪文」といった、古い時代のRPGが持っていたテイストを現在の視点から積極的に評価したものになっています。
そうしたオールドスクール再評価の傾向を持つゲームは別に氏の専売特許というわけではなく、特に旧版D&Dのシステムを流用した製品群は総じてOSR、オールドスクール・ルネサンス(またはリバイバル)と呼ばれています。
以前からOSR系デザイナーとして一部で注目されてきたミルトン氏ですが、今回の『ネイブ』はかなり直球な旧版D&Dベースのゲームです。
とはいえ同時に、その内容は氏独特の色に染め上げられてもいます。
・ファイター、クレリックといったクラス制を用いない。
・クラスがないので、PCに装備や呪文使用の制限もない。
・いくつかの能力値の適用範囲が変更されている。
・独自な呪文100種のリストが用意されている。
……等々、なかなか面白いです。
『ネイブ』はRPGを、特にD&Dを知っていることを前提に作られているので、そのルール記述は最低限で、分量はレターサイズのPDFで7ページしかありません。
ですが、そのコンパクトさの中に、D&D等のオールドスクール・ファンタジーRPG経験者であれば十分にプレイ可能なものは揃っています。
拙訳で日本語版を作成してみましたので、興味を持たれましたら、ご覧いただければと思います。
『ネイブ』は本文中に記載されているように、クリエイティブ・コモンズライセンス帰属で自由に改変、公開できるのですが、いちおうミルトン氏に日本語版の公開を打診して、ご本人から許可をいただきました。
Thank you, Mr. Milton!
2018年6月3日日曜日
200ワードRPG『PROXIMA』和訳
2015年から毎年開催されているWeb上での公募コンテスト「200ワードRPGチャレンジ」は、今年の応募が締め切られて現在選考中です。
このコンテストの応募作品はすべて公開で、まず最終選考作品50作に絞られ、その中から優勝が選ばれます。名称どおり応募作品は英語で200ワード以内の超ミニマムなゲームでなければなりません。
200ワードRPGチャレンジ:https://200wordrpg.github.io/
先日、締め切り直前にインディ・ゲームデザイナーのJ.ウォルトン氏が『PROXIMA(プロキシマ)』というゲームを同コンテストに投じました。これが興味深い、とても面白そうな内容でしたので、和訳してみました。作者の許諾も得られましたので公開したいと思います。
残念ながら「英語で200ワード内」というレギュレーションを日本語では再現できないのですが……。おおよその文章量は保てたと思います。
以下が、その訳です。
(※更新:作者のウォルトン氏から日本語版カバーをいただきました。Thank you, Mr. Walton!)
PROXIMA/プロキシマ
あなたのキャラクターは現在とさほど変わらない環境を模した、遠い未来の宇宙船内で働いている。キャラクターに名前とコールサイン、想像上の来歴や性格、日々の生活を設定しよう。
現実の日常から以下のような経験を取り上げ、それをキャラクターの生活の中で起きた出来事であるかのようにソーシャルメディアに投稿する:驚異、失望、歓喜、疑念、苦労、快癒、罪過、記憶、交友、暴露。
各投稿には「PROXIMA」とラベルを付け、日付も年+月+日+時の数字をつなげてたものを記す。例えば「201805270908」というように。ソーシャルメディア内の検索用にタグを2つ、3つ付けたり、他の参加者が現れることを期してゲーム・ルールへのリンクを貼ることも自由に行ってよい。
ゲーム内のフィクションとしては、宇宙の広大さゆえに投稿したメッセージが他人に届くまでには長い時間がかかる。機会があればいつでも(数週間、数ヶ月間、数年間の空白があったとしても)、新たな投稿をしてかまわない。他のプレイヤーのプロキシマ投稿に返信するのも自由だ。あなたは常に同じキャラクターをプレイするが、時間の経過とともに成長したり、変化したりしたことにもできる。
Inspired by "One Missed Call" by +Caroline Hobbs.
このコンテストの応募作品はすべて公開で、まず最終選考作品50作に絞られ、その中から優勝が選ばれます。名称どおり応募作品は英語で200ワード以内の超ミニマムなゲームでなければなりません。
200ワードRPGチャレンジ:https://200wordrpg.github.io/
先日、締め切り直前にインディ・ゲームデザイナーのJ.ウォルトン氏が『PROXIMA(プロキシマ)』というゲームを同コンテストに投じました。これが興味深い、とても面白そうな内容でしたので、和訳してみました。作者の許諾も得られましたので公開したいと思います。
残念ながら「英語で200ワード内」というレギュレーションを日本語では再現できないのですが……。おおよその文章量は保てたと思います。
以下が、その訳です。
(※更新:作者のウォルトン氏から日本語版カバーをいただきました。Thank you, Mr. Walton!)
PROXIMA/プロキシマ
あなたのキャラクターは現在とさほど変わらない環境を模した、遠い未来の宇宙船内で働いている。キャラクターに名前とコールサイン、想像上の来歴や性格、日々の生活を設定しよう。
現実の日常から以下のような経験を取り上げ、それをキャラクターの生活の中で起きた出来事であるかのようにソーシャルメディアに投稿する:驚異、失望、歓喜、疑念、苦労、快癒、罪過、記憶、交友、暴露。
各投稿には「PROXIMA」とラベルを付け、日付も年+月+日+時の数字をつなげてたものを記す。例えば「201805270908」というように。ソーシャルメディア内の検索用にタグを2つ、3つ付けたり、他の参加者が現れることを期してゲーム・ルールへのリンクを貼ることも自由に行ってよい。
ゲーム内のフィクションとしては、宇宙の広大さゆえに投稿したメッセージが他人に届くまでには長い時間がかかる。機会があればいつでも(数週間、数ヶ月間、数年間の空白があったとしても)、新たな投稿をしてかまわない。他のプレイヤーのプロキシマ投稿に返信するのも自由だ。あなたは常に同じキャラクターをプレイするが、時間の経過とともに成長したり、変化したりしたことにもできる。
Inspired by "One Missed Call" by +Caroline Hobbs.
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ウォルトン氏は様々なインディRPG、ストーリーゲームのデザインや、ゲームアンソロジーの編纂を行ったキャリアを持つ才人です。映画『エイリアン』のようなサバイバルSFホラー・テーマの『GEIGER COUNTER: GAMMA』、ファンタジーRPG『Dungeon World』用のサプリメント『PLANARCH CODEX』など、いろいろなゲームや関連書をお書きになっています。
彼の作品にはフビライ・カーンと女忍者(愛人として後宮に潜入している)の対話がモチーフという摩訶不思議な『Kazekami Kyoko Kills Kublai Khan(5K)』や、義和団内の女性諜報・戦闘組織「紅灯照」を扱った『RED LANTERNS』もあり、中国の文化や歴史にお詳しいようです。紅灯照は手塚治虫の『一輝まんだら』で主人公が所属することになった団体として登場しましたね。
ウォルトン氏のサイト『CORVID SUN』:http://www.jwalton.media/
『PROXIMA』は未来SFテーマで、SNS投稿を前提としたユニークなものです。
オンライン上かつテキストベースで行う同様のゲームは前例があるのですが(Eric Nieudan氏の『SOMETHING GLOBAL』、D.Vincent Baker氏の『A Doomed Pilgrim in the Ruins of the Future』)、こちらゲームは「プレイヤー自身の日常をフックにテキストを書く」、「期間と投稿頻度を問わない」、「SNSによる拡散とリプライによるルール制限がほぼ皆無なコミュニケーション」が特徴的です。
1投稿を長めに書くことができるG+利用を前提としているようですが、ツイッター等でも可能なゲームでしょう。
どんなふうに動かせるのか、試してみたいですね。
2018年5月26日土曜日
TIH用ソロ・アドベンチャー『裏切り者を追え』
ウォラック卿が敵と内通していることに気づいたのは、あなただけだった。
そして、それに気づくのは遅すぎた! あなたが上官に一報をもたらすよりも先に敵軍は動き、今やオーン峡谷の砦は攻撃にさらされている。奇襲によって周囲には怒号が上がり、砦内に侵攻した敵兵による混乱は瞬く間に広がっていく。
敵味方が入り乱れる中、ウォラック卿の逃亡を目撃したのもまた、あなただけだった。この大騒動に乗じて裏切り者が表門から密かに出て行くのを、偶然にも自らの目端に捉えることができたのだ。
あなたは居並ぶ敵兵どもを手にした矛槍で力任せに薙ぎ払い、怒りに身を震わせて裏切り者、ウォラック卿の後を追った……。
『裏切り者を追え』のダウンロードはこちらをクリック!
これは『ジ・インディ・ハック(TIH)』用のソロ・アドベンチャーです。
パラグラフ数40の超短編でシンプルな内容ですが、TIHエンジンで用いられる特異なダイスの振り方の雰囲気を簡易な形で味わうことができます。本文【1】から開始して指示されたか、選択したパラグラフの順に読んでいってください。行き先の【番号】をクリックすると、そのパラグラフにジャンプします。
ルール軽量なファンタジーRPG『ジ・インディ・ハック』については本ブログの過去記事「ジ・インディ・ハック日本語版がリリース」をご覧ください。
そして、それに気づくのは遅すぎた! あなたが上官に一報をもたらすよりも先に敵軍は動き、今やオーン峡谷の砦は攻撃にさらされている。奇襲によって周囲には怒号が上がり、砦内に侵攻した敵兵による混乱は瞬く間に広がっていく。
敵味方が入り乱れる中、ウォラック卿の逃亡を目撃したのもまた、あなただけだった。この大騒動に乗じて裏切り者が表門から密かに出て行くのを、偶然にも自らの目端に捉えることができたのだ。
あなたは居並ぶ敵兵どもを手にした矛槍で力任せに薙ぎ払い、怒りに身を震わせて裏切り者、ウォラック卿の後を追った……。
『裏切り者を追え』のダウンロードはこちらをクリック!
これは『ジ・インディ・ハック(TIH)』用のソロ・アドベンチャーです。
パラグラフ数40の超短編でシンプルな内容ですが、TIHエンジンで用いられる特異なダイスの振り方の雰囲気を簡易な形で味わうことができます。本文【1】から開始して指示されたか、選択したパラグラフの順に読んでいってください。行き先の【番号】をクリックすると、そのパラグラフにジャンプします。
ルール軽量なファンタジーRPG『ジ・インディ・ハック』については本ブログの過去記事「ジ・インディ・ハック日本語版がリリース」をご覧ください。
DriveThruRPGの販売ページではルールブックのサンプルを閲覧することができ、そこでルールの基本的な部分はすべて公開されています。ですので、そのサンプルを読んだだけでも、このソロ・アドベンチャーはプレイ可能です。
TIH本来の旨味はダイスを振って挑戦した際の「プレイヤーによる自由な発想の細部追加」にあります。
これはパラグラフ選択の、いわゆるゲームブック形式では再現しにくいシステムです。本作での細部の追加は、そのほとんどが本文で指示されたものを記録する形を取ります。パラグラフ総数も少ないため、一気に物語展開をそらしたり広げたりする内容のものは導入していません。
あくまでTIHエンジンの「雰囲気」を伝えるための小さな冒険ではありますが、お試しいただけたら幸いです。
TIH本来の旨味はダイスを振って挑戦した際の「プレイヤーによる自由な発想の細部追加」にあります。
これはパラグラフ選択の、いわゆるゲームブック形式では再現しにくいシステムです。本作での細部の追加は、そのほとんどが本文で指示されたものを記録する形を取ります。パラグラフ総数も少ないため、一気に物語展開をそらしたり広げたりする内容のものは導入していません。
あくまでTIHエンジンの「雰囲気」を伝えるための小さな冒険ではありますが、お試しいただけたら幸いです。
2018年5月2日水曜日
ダンジョンタウン・クロウル・ダイスドロップ表
いよいよ『アドバンスド・ファイティング・ファンタジー第2版』が登場しましたね。
一世を風靡したゲームブックFFシリーズ、その世界をTRPGで遊ぶダンジョニアRPGが、より洗練、増補された形で帰ってきました。
これからリリースされるだろう世界設定集『タイタン』、怪物データ集の『モンスター事典』も楽しみですが、今あるルールブックだけでも十分に繰り返しプレイできると思いますね。シナリオ『火吹山の魔法使い』が同梱ですし、何よりルールブックに用意されたサポートコンテンツが素晴らしい。
僕はランダム・ジェネレート表が大好きなので、AFF2のダイスを使ったダンジョン・ジェネレートには、いたく感激しました。手軽なダンジョン攻略シナリオなら、これを用いるだけでサッと準備できます。
AFF2は他の部分も含めて軽めのシステムですから、FFシリーズのゲームブックに習ったボリュームあるシナリオを作成するだけでなく、こうしたツールで手っ取り早く開始するのも大アリでしょう。
◆ニューダン氏のダンジョン表
そのAFF2のダンジョン・ジェネレートを見て思い出したのが、以前に訳したエリック・ニューダン氏の「ダンジョンタウン・クロウル・ダイスドロップ表」です。
これも紙の上にダイスを撒くことで全体の部屋(エリア)配置が決定されるものでした。
d4、d6、d8、d10、d12、d20を1つずつ必要とするのですが、上の写真のように印刷した表の上にランダムで散らばせます。
ダイスが乗った部分がダンジョンもしくはタウンで使われる部屋や通路、または建物や区画になります。
これをつなぐと地図ができます。各部屋(区画)に配されたキーワードと右端のランダムチャートの結果を任意で組み合わせれば、簡易の冒険セッティングができあがります。
作者のニューダン氏には許諾を得ておりますので、ここにあらためてダウンロード先フォルダへのリンクを公開します。フォルダ内には表PDFと取説代わりのテキスト、ニューダン氏による使用例の写真が入っています。
ダウンロード:ダンジョンタウン・クロウル・ダイスドロップ表
急ぎでファンタジーRPGのシナリオを作らなきゃ! といった際に試してみてください。
一世を風靡したゲームブックFFシリーズ、その世界をTRPGで遊ぶダンジョニアRPGが、より洗練、増補された形で帰ってきました。
これからリリースされるだろう世界設定集『タイタン』、怪物データ集の『モンスター事典』も楽しみですが、今あるルールブックだけでも十分に繰り返しプレイできると思いますね。シナリオ『火吹山の魔法使い』が同梱ですし、何よりルールブックに用意されたサポートコンテンツが素晴らしい。
僕はランダム・ジェネレート表が大好きなので、AFF2のダイスを使ったダンジョン・ジェネレートには、いたく感激しました。手軽なダンジョン攻略シナリオなら、これを用いるだけでサッと準備できます。
AFF2は他の部分も含めて軽めのシステムですから、FFシリーズのゲームブックに習ったボリュームあるシナリオを作成するだけでなく、こうしたツールで手っ取り早く開始するのも大アリでしょう。
◆ニューダン氏のダンジョン表
そのAFF2のダンジョン・ジェネレートを見て思い出したのが、以前に訳したエリック・ニューダン氏の「ダンジョンタウン・クロウル・ダイスドロップ表」です。
これも紙の上にダイスを撒くことで全体の部屋(エリア)配置が決定されるものでした。
d4、d6、d8、d10、d12、d20を1つずつ必要とするのですが、上の写真のように印刷した表の上にランダムで散らばせます。
ダイスが乗った部分がダンジョンもしくはタウンで使われる部屋や通路、または建物や区画になります。
これをつなぐと地図ができます。各部屋(区画)に配されたキーワードと右端のランダムチャートの結果を任意で組み合わせれば、簡易の冒険セッティングができあがります。
作者のニューダン氏には許諾を得ておりますので、ここにあらためてダウンロード先フォルダへのリンクを公開します。フォルダ内には表PDFと取説代わりのテキスト、ニューダン氏による使用例の写真が入っています。
ダウンロード:ダンジョンタウン・クロウル・ダイスドロップ表
急ぎでファンタジーRPGのシナリオを作らなきゃ! といった際に試してみてください。
2018年4月18日水曜日
メイズ・ラッツがプラチナム・セラーに
ミニマルなファンタジーRPG『メイズ・ラッツ』がDrivethruRPGでの販売数が1,100に達してプラチナム・セラー入りしたと作者から報告がありました。
DrivethruRPGのベストセラーはカッパー、シルバー、エレクトラム、ゴールド、プラチナムに段階分けされているのですが、どのくらい売るとどうなるのか、基準がよくわからなかったんですよね。
値段の高いものと低いものを同列に扱えないでしょうし、最近はキックスターターの出資者へのPDF配布はDrivethruを経由したりもするので、どう判定しているのか? と。
これはアップロードしている作者本人にも判然としなかったようなのですが……今回のケースで「最高位のプラチナムは購入数1,100が基準かも」との推測が立てられました。
コアルールはゲームブックに毛が生えたぐらいと言っていいと思います。
最大の特徴は充実したキャラクター、スペル、モンスター、トレジャー、ダンジョン、ワイルダネス、シティetc.を生成するチャート類です。それらのチャートは特に数値に左右されない、イメージを喚起する単語が得られるものなので『メイズ・ラッツ』そのものに限らず、あらゆるファンタジーRPGで援用できます。
現在販売されている4.3版は、そもそもフリー公開可能でしたので、拙訳の公開を作者ベン・ミルトン氏に許可していただいております。
以下よりPDFをダウンロード可能です。
このゲーム、ゲームマスター向けのアドバイスページも必見です。
ミルトン氏は長年『メイズ・ラッツ』他の自作RPGを小学5年生を中心とするキッズ相手に繰り返しており、そのプレイ経験から得たものが込められたアドバイスは実に豊かです。これもまたシステムを限定することなく、他のゲームでも活かせるでしょう。
こちらも作者のマット・ジャクソン氏に公開の許可を得ていますので、以下よりPDFをダウンロード可能です。
合わせてお楽しみいただければと思います。
DrivethruRPGのベストセラーはカッパー、シルバー、エレクトラム、ゴールド、プラチナムに段階分けされているのですが、どのくらい売るとどうなるのか、基準がよくわからなかったんですよね。
値段の高いものと低いものを同列に扱えないでしょうし、最近はキックスターターの出資者へのPDF配布はDrivethruを経由したりもするので、どう判定しているのか? と。
これはアップロードしている作者本人にも判然としなかったようなのですが……今回のケースで「最高位のプラチナムは購入数1,100が基準かも」との推測が立てられました。
◆メイズ・ラッツ4.3日本語版
『メイズ・ラッツ』は、とてもシンプルなルールのRPGです。コアルールはゲームブックに毛が生えたぐらいと言っていいと思います。
最大の特徴は充実したキャラクター、スペル、モンスター、トレジャー、ダンジョン、ワイルダネス、シティetc.を生成するチャート類です。それらのチャートは特に数値に左右されない、イメージを喚起する単語が得られるものなので『メイズ・ラッツ』そのものに限らず、あらゆるファンタジーRPGで援用できます。
現在販売されている4.3版は、そもそもフリー公開可能でしたので、拙訳の公開を作者ベン・ミルトン氏に許可していただいております。
以下よりPDFをダウンロード可能です。
このゲーム、ゲームマスター向けのアドバイスページも必見です。
ミルトン氏は長年『メイズ・ラッツ』他の自作RPGを小学5年生を中心とするキッズ相手に繰り返しており、そのプレイ経験から得たものが込められたアドバイスは実に豊かです。これもまたシステムを限定することなく、他のゲームでも活かせるでしょう。
◆シナリオ:レディ・ネアワルの墳墓
昨年『メイズ・ラッツ』のシステムとチャートを駆使して作成されたミニ・シナリオ『レディ・ネアワルの墳墓(Lady Naewal's Tomb)』がG+で公開されました。こちらも作者のマット・ジャクソン氏に公開の許可を得ていますので、以下よりPDFをダウンロード可能です。
合わせてお楽しみいただければと思います。
2018年3月31日土曜日
「左腕を切り裂いた」が場面細部…?
『ジ・インディ・ハック(TIH)』では物語を構成する言葉の最小単位を細部(ディティール)とし、これを3つに分類しています。
このゲーム上の分類はよく言えば自由度が高く、悪く言えば曖昧です。
実際のところ、ダイスを振って提案される細部が3つのうちのどれなのか、それはゲームマスターの裁定と参加者全員の合意を積み重ね、プレイグループごとに最適化されていくべきものだと作者は捉えています。
なので、ルールブックにも大まかなガイドラインと、それぞれの例が少しばかり挙げられているだけです。
それもまた1つの見識ではある、と私は考えているのですが、1点どうしても補足しておくべきだろうと感じる箇所があります。
場面細部の説明で挙げられている例が、それです。
戦闘等で対象にダメージを与えるのは確定(損害)細部ではないのか?
なぜ、これが場面細部なのか?
私も訳していて不思議で、作者に直接質問することも考えました。
謎が解けたのは、TIHコアエンジンを使用した作者の新作『Dust, Fog and Glowing Embers』を読んだ時のことでした。
こちらは総ページ数99pのゲームなので、細部の分類についての解説も補填されて例も多め。そして『Dust...』でも「左腕を切り裂いた」は場面細部で、より突っ込んだ解説がされていたのです。
該当箇所を読むと作者は「左腕を切り裂いた」を、確定細部と場面細部が同時に適用された場合の例に挙げていました。
戦闘でダイスを振り、プレイヤーが3差で勝ったとしましょう。プレイヤーは敵に対して確定細部1つと場面細部1つを追加できます。
この例の場合、そこで敵に追加されたのがまず「切られた」という確定(損害)細部、そして「切られた左腕が動かせなくなる」という効果――場面細部です。敵の片腕が動かなくなるというのは戦況の変化なので、場面細部であると解釈されています。
敵にダメージを与えたことを示す確定細部と、その結果生じた現象を示す場面細部の組み合わせが「左腕を切り裂いた」だったのです。
『Dust...』では、もしダイス振りの結果で確定細部1つしか敵に与えられなかったら、例えば「深い切り傷」といった損害細部を追加できるだけで、上記のような効果(片腕が効かなくなる)は得られない、としています。
つまり攻撃で敵にダメージ(損害細部)だけでなく、武器を落とさせる、転倒させる、目をくらませるといった副次効果も一発で与えたいなら、ダイス振りで3差か5差以上で勝つ必要があります。
(※4差で勝った場合は、振ったプレイヤーと別のプレイヤーのそれぞれが確定細部を1つ追加する権利を得るため、攻撃で損害+効果を同時に与えることはできない)
どうやらTIHのこの部分には疑義が呈されていたようで、作者も新作で説明を追加したようです。
戦闘では、上に記したガイドラインが役に立つことも多いでしょう。TIHのルールでゲームをしていると、プレイヤーは戦闘で敵にダメージを与えるだけでなく、何か面白い効果も提案して場面を盛り上げたくなるものだからです。
ですが、上記はオフィシャルではありますが、あくまでガイドラインです。
作者はTIHを「遊ぶためのツール」として、グループの好みに合わせて修正することを推奨しています。
私もまた、作者公式にとらわれず、確定/流動/場面の分け方をプレイの状況に合わせて随時、編み出していくことをオススメします。
- 確定細部(ハード・ティティール):物や人の根本的な変化を表す。
- 流動細部(ソフト・ディティール):些細で一時的な物事の変化を表す。
- 場面細部(シーン・ディティール):周囲の状況、戦況の変化表す。
このゲーム上の分類はよく言えば自由度が高く、悪く言えば曖昧です。
実際のところ、ダイスを振って提案される細部が3つのうちのどれなのか、それはゲームマスターの裁定と参加者全員の合意を積み重ね、プレイグループごとに最適化されていくべきものだと作者は捉えています。
なので、ルールブックにも大まかなガイドラインと、それぞれの例が少しばかり挙げられているだけです。
それもまた1つの見識ではある、と私は考えているのですが、1点どうしても補足しておくべきだろうと感じる箇所があります。
場面細部の説明で挙げられている例が、それです。
「左腕を切り裂いた」が場面細部な理由
販売ページのサンプルでも確認できますが、TIHルールブックP.5の場面細部の例に「彼の左腕を切り裂いた!(I slashed his left arm!)」と書かれています。戦闘等で対象にダメージを与えるのは確定(損害)細部ではないのか?
なぜ、これが場面細部なのか?
私も訳していて不思議で、作者に直接質問することも考えました。
謎が解けたのは、TIHコアエンジンを使用した作者の新作『Dust, Fog and Glowing Embers』を読んだ時のことでした。
こちらは総ページ数99pのゲームなので、細部の分類についての解説も補填されて例も多め。そして『Dust...』でも「左腕を切り裂いた」は場面細部で、より突っ込んだ解説がされていたのです。
該当箇所を読むと作者は「左腕を切り裂いた」を、確定細部と場面細部が同時に適用された場合の例に挙げていました。
戦闘でダイスを振り、プレイヤーが3差で勝ったとしましょう。プレイヤーは敵に対して確定細部1つと場面細部1つを追加できます。
この例の場合、そこで敵に追加されたのがまず「切られた」という確定(損害)細部、そして「切られた左腕が動かせなくなる」という効果――場面細部です。敵の片腕が動かなくなるというのは戦況の変化なので、場面細部であると解釈されています。
敵にダメージを与えたことを示す確定細部と、その結果生じた現象を示す場面細部の組み合わせが「左腕を切り裂いた」だったのです。
『Dust...』では、もしダイス振りの結果で確定細部1つしか敵に与えられなかったら、例えば「深い切り傷」といった損害細部を追加できるだけで、上記のような効果(片腕が効かなくなる)は得られない、としています。
つまり攻撃で敵にダメージ(損害細部)だけでなく、武器を落とさせる、転倒させる、目をくらませるといった副次効果も一発で与えたいなら、ダイス振りで3差か5差以上で勝つ必要があります。
(※4差で勝った場合は、振ったプレイヤーと別のプレイヤーのそれぞれが確定細部を1つ追加する権利を得るため、攻撃で損害+効果を同時に与えることはできない)
どうやらTIHのこの部分には疑義が呈されていたようで、作者も新作で説明を追加したようです。
作者の指定ではあるけれど
以上が「左腕を切り裂いた」が場面細部の例になっている理由です。戦闘では、上に記したガイドラインが役に立つことも多いでしょう。TIHのルールでゲームをしていると、プレイヤーは戦闘で敵にダメージを与えるだけでなく、何か面白い効果も提案して場面を盛り上げたくなるものだからです。
ですが、上記はオフィシャルではありますが、あくまでガイドラインです。
作者はTIHを「遊ぶためのツール」として、グループの好みに合わせて修正することを推奨しています。
私もまた、作者公式にとらわれず、確定/流動/場面の分け方をプレイの状況に合わせて随時、編み出していくことをオススメします。
2018年3月28日水曜日
ジ・インディ・ハック日本語版がリリース
2018年3月28日、Scablands Pressより『ジ・インディ・ハック』がDriveThruRPGにアップされました。
価格は6.60USドル(セール時は4.42USドル)で、元の英語版と同額に設定されています。
・作者:スレイド・ストーラー
・イラスト:ヘラー(J.カルロス・アンドレ)
『ジ・インディ・ハック(略称TIH)』はルール極小のファンタジーRPGです。
独特な「細部追加」のシステムによって、プレイヤーサイドからの発案が物語を大きく左右する、ナラティブでプレイヤー・ドリブンなスタイルが念頭に置かれています。
また、カバーおよび本文に挿入されているヘラーこと、J.カルロス・アンドレ氏のイラストも魅力的です。
- ジャンルはオールドスクールなファンタジーもの
- ルールはコンパクトで、ゲームマスターが把握していれば、その場の説明で問題なくプレイできる
- 各人が細部(ディティール)を発言、時にそれをメモすることで物語が展開する。その場の思いつきで追加された細部が物語世界の“事実”となるので、プレイによって世界やキャラクターはグループ独自の豊かなものになる。
- 戦闘の描写やダメージも細部の追加で表現される。殴られれば「頭から出血」し、剣の斬撃を与えれば敵は「胸を切り裂かれた」ことになる。
- 魔法もまた細部追加で効果を発揮する。元素術師は呪文「変身」を唱え、自分に「鳥の姿」の細部を与えれば、鳥になって飛ぶことができる。
TIHの特徴をざっと挙げると上記のようになるでしょうか。
あと、キャラクターが死ぬと「裁きの三女神」に対面して、彼女たちの出す条件を飲めば復活できるというのも、風変わりなところかもしれませんね。復活後に女神との約束を守らずにいると「呪詛」という細部をダメージとして受けることになり、心を入れ替えて条件をクリアしない限り消せません。
これはキャラへの救済措置というより、死を前にして女神と向き合うこと自体がプレイの一環であり、条件付きの復活が次なる冒険への手がかりともなるギミックです。
これはキャラへの救済措置というより、死を前にして女神と向き合うこと自体がプレイの一環であり、条件付きの復活が次なる冒険への手がかりともなるギミックです。
トータル28ページ(日本語版はカバー裏や目次を付けたので32ページ)の小品も小品なゲームですが、いろいろと興味深いアイディアが詰め込まれています。
細かな数値やデータを駆使するシステムではありませんから、シナリオは他ゲームからの流用が効きやすく、オリジナルを準備するにしても、あまり手間がかかりません。
と言うか、プレイヤーが追加する細部もGMが提供する情報とほぼ等価なので、準備したものにこだわるよりも、プレイ中に突っ込まれたもので組み立てたほうが楽しい……というゲームです。
と言うか、プレイヤーが追加する細部もGMが提供する情報とほぼ等価なので、準備したものにこだわるよりも、プレイ中に突っ込まれたもので組み立てたほうが楽しい……というゲームです。
手軽でちょっと変わったフィーリングのRPGをお求めの方に、是非お試しいただければと思います。
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