グループSNEの友野詳先生がツイッターで「2月2日は飛鳥五郎が殺害された日」と呟いておられるのを拝見して思い出しました。
そういえば以前、大切な人を殺されて、復讐を誓うキャラクターが主人公のゲームを和訳したな、と。
こちらの『エンター・ジ・アヴェンジャー』は復讐者と、その復讐の顛末を描くミニRPG、ストーリーテリングゲームです。作者はイタリア人デザイナーのRafu (Raffaele Manzo)氏で、ファンタジー短編とストーリーゲームの専門電子雑誌『World Without Master』に掲載されました。
WWM誌には毎号、このようなミニゲームが付いていますが、これはイラストも含めてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスBY-SAでシェア可能ですので、アップしたいと思います。
エンター・ジ・アヴェンジャー
作者:Rafu (Raffaele Manzo)
イラスト:Tazio Bettin
出典:World Without Master Issue 1(Dig a Thousand Holes Publishing)
https://www.worldswithoutmaster.com/bazaar/worlds-without-master-issue-1
『エンター・ジ・アヴェンジャー』はプレイ人数3人以上、5人が最適のゲームです。
各プレイヤーは「復讐者」「語り手」「被疑者」「審判」「天罰」、5つの役割のいずれかを担当することになります。遊ぶにはメモする紙、筆記用具に加えて、トランプのエースカード4枚とジョーカー2枚の計6枚が必要です。トランプは代わりにインデックスカード等を用いて、ルールに合わせた構成の6枚を自作してもいいでしょう。
復讐者の地獄巡りというテーマはマカロニ西部劇で頻出するのですが、イタリア人好みの題材なのかもしれません。
復讐、その受難、クライマックスの悲劇……。昔、作曲家の三枝成彰氏がイタリアのオペラ関係者に『忠臣藏』の話をしたそうで、その話は結局何人死ぬ? と聞かれて「47人、全員死ぬ」と答えたところ、それはヒット確実だ! と断言されたとTV番組で話していました。三大自転車ロードレースの1つでイタリア開催のジロ・デ・イタリアのコース設定が異様に過酷なのは、過剰に劇的であることを好むイタリアの国民性ゆえだ、という記事を読んだこともあります。
まあ、日本人も受難とかはさておき(これはおそらくキリスト受難が背景にある)、三大仇討なんてあるくらいですから、復讐譚はウケるテーマだと思います。『快傑ズバット』など放映当時は毎週、オープニングで親友の飛鳥五郎が殺害される姿を全国の子供たちに見せつけていたのですから、「過剰に劇的」を好むのもイタリア人に限った話ではなさそうです(笑)。
このゲームのジャンルは、いちおうファンタジーで、それに即した例示がなされています。
とはいえシステム面では、ファンタジーでなければ成立しないというものではありません。日本人の僕らとしては「復讐者」を荒木又右衛門にした『鍵屋の辻RPG』、早川健にした『快傑ズバットRPG』として遊んでもよいのではないでしょうか。
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