2019年1月2日水曜日

TIHシナリオ:戦火に引き裂かれた地で

『ジ・インディ・ハック(TIH)』は、プレイヤーが主導する局面の多い、即興性の強いRPGです。
実際のプレイでは、他のオールドスクールなファンタジーRPG(D&DとかT&Tとか)のシナリオを流用することが第1のオススメ手段なのですが、オリジナルのシナリオを作る場合は、どのようなものになるのか? その例を挙げたいと思います。

マックス・ヴァンダーヘイデン氏のシナリオ『戦火に引き裂かれた地で』は、即興で追加される「細部」が物語を左右する(さらには背景世界も生み出していく)、TIHエンジンの要諦を踏まえたものです。これを和訳し、氏から許諾を得ましたので公開します。

原典『The War Torn Lands』初出:
http://www.shoalmont.com/2018/09/shoalmont-018-war-torn-lands.html
ヴァンダーヘイデン氏の現在のブログ Shoalmont Games:
https://shoalmontgames.wordpress.com/

Thank you, Max Vanderheyden!


和訳PDFは以下の画像をクリックしてダウンロードしてください。

 War_Torn_Lands_JP


分量はたった1ページ、しかも下半分はキャラクターシートです。
これはTIHのシステムをご存知の方でも驚かれるかもしれません。

しかし、これでセッション可能なのです。プレイヤーが追加する「細部」しだいで、いかようにも話や設定が変化するTIHでは、ゲームマスターが事前にきっちりとしたボリュームのあるシナリオを作ったところで、その内容の半分もプレイで使えたら、よいほうとなります。ならば最初からプレイヤーに「やりたい/やれそうなネタ」を出してもらって、それに合わせて即興で進めればいい……。そんな考え方を極端に表しているのが、このシナリオです。

『戦火に…』は通常のシナリオのようにGMだけが所持し、閲覧・使用するものではありません。キャラクターシートと一体化していることでもわかるように、これは各プレイヤーにも1枚ずつ配布します。
セッションに導入する際の流れは、おおよそ以下のようになります。

1.『戦火に…』を各人に1枚ずつ配る。
配布後、プレイヤーに目を通してもらいながら、GMは「大きな戦争があった後」が舞台になることを伝えます。

2.プレイヤーキャラクターを作成(流用)する。
プレイヤーは通常どおりにキャラクター作成します。
すでに使用しているキャラクターを使うことにしてもかまいません。

3.「生業ごとの質問」に答える。
各プレイヤーは、新規キャラの場合は作成時に指定される他の「質問」に追加または交換する形で、使用済キャラの場合は追加する形で「生業ごとの質問」に答えて、他の人たちに伝えます。
答えの内容はメモしておくとよいでしょう。

4.「出会うものについての質問」に答える。
上と同様に各プレイヤーが答えます。先の答えを踏まえて考え、回答するとよいでしょう。こちらの内容もメモしておきます。

5.「ゲームマスター用の質問」に答える。
ゲームマスターは2つの「質問」に答えます。これは「3.」と「4.」で提出されたプレイヤーたちの答えを考慮して回答を決めます。
2つのうち「あなたたち(※これはプレイヤーキャラクターたちと考えていいでしょう)を進ませる、または留めさせるものは何か?」については、その答えをプレイヤーたちに伝えるのがよいと思います。
もう1つの「あなた(※つまりGM)が何よりも重視する真実とは何か?」の答えは、それがふさわしいと思うなら、GMは秘密にしてかまいません。公正を期すのであれば、その内容をメモして、プレイヤーたちには公開してもよい時が来るまで隠しておきます。

6.最初の場面を設定する。
GMは、これまでの「質問」への回答すべてを検討して、冒険の最初の場面を語ります。
以降はTIHのルールに則り、プレイを進めます。

最初の場面作りはもちろん、セッションが終わるまでの間、GMは困ったらプレイヤーたちと、いくらでも相談してかまいません。何しろ、このシナリオには事前に決まっていることは、ほとんど何もないのですから!
プレイヤーも相談や「細部」の追加で、積極的にお話の展開に協力してください。

ざっくりとですが、以上のようになります。
GMはとりあえず、プレイヤーキャラクターたちの目的を提示するために「出会うものについての質問」の回答に着目すると、冒険を立ち上げやすくなります。
「求める標的はどこにいるのか?」や「任せられた厄介な仕事は何か?」の答えは、うまくすれば、ほぼそのまま冒険の目的にできます。即興でセッションを行うことに不安がある場合は、この2つのどちらか(あるいは、あなたの使いやすそうな質問)は、必ず誰かが答えるように、とプレイヤーたちに求めるのがよいと思います。またはGM自身が追加で答えてしまってもよいでしょう。

私が試してみたいと思うのは、プレイヤーにも全公開のシナリオであることを活かして「参加者全員がプレイヤーとしてキャラを作り、GM役は場面ごとにローテーションする」やり方です。TIHは非常に軽いシステムですから、ルールを把握している人が1人いれば、その人の説明とサポートで、ルールブックを熟読していない人でもGMすることが可能なはず……。

できれば近いうちに、挑戦してみたいと思います。

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