『Rats in the Walls(ラッツ・イン・ザ・ウォールズ)』はフランスのAlexandre Kobayashi氏がデザインしたオリジナルTRPGです。
テーマはホラー、宇宙的恐怖……つまり日本でも人気のクトゥルフ神話もの。
ただし「ラブクラフト作品等に登場した神格や怪物を直接には扱わない」と明言されています。ルールブックに例示されている旧支配者やモンスターは、どれもKobayashi氏独自のものです。
(※『Rats in the Walls』販売ページは→こちら)
この『ラッツ・イン・ザ・ウォールズ』はクリエイティヴ・コモンズ・ライセンス BY 4.0で、テキストの多くが公開可能になっています。
そこで公開できない部分のテキストや、ロゴやイラストを外した日本語公開版を作成してみました。
オープンできないのは作者オリジナルの旧支配者、怪物、ドリームランドの解説とデータを扱った章です。面白い内容ですし、これをホラーゲームで掲載できないのは痛いのですが……。それでも必須となるルールはすべて載っているので、他のゲームからアイディアを拝借する等で、十分にプレイ可能でしょう。
下にPDFを用意しましたので、興味を持たれた方はダウンロードしてみてください。
お読みいただくと、すぐにわかりますが、このゲームは実にシンプルです。
作者によれば参考にしたシステムは『トラベラー』や『アドバンスド・ファイティング・ファンタジー(旧版)』、そして、そうしたオールドスクールなRPGの影響下に生まれた近年の海外インディRPG諸作品とのこと。クレジット部の謝辞にラブクラフトと並んでサンディ・ピーターセンの名も挙げられていますから、当然『クトゥルフ神話RPG』もですね。キャラクター・データに「正気点」というのもありますし。
『ラッツ・イン・ザ・ウォールズ』はコズミック・ホラーRPGではありますが、偉大な先行作品である『クトゥルフ神話RPG』とは少しデザイン・コンセプトが異なります。
先にも述べましたように、既存の神話作品に登場するネタを使用しないこともありますが、何よりプレイするストーリーのアウトラインを「怪異に立ち向かう」ものと規定していることです。
プレイヤーキャラクターは一般人より少し頑丈で、不可思議な事件を探索する上で有利な面を持たされています。
ただし、それは言ってみれば「ストーリー展開が行き詰まらないように主人公補正がある」ようなもので、心身の能力や強度は「並よりちょっと上」程度でしかありません。うかつに危険や暴力の中に飛び込めば、瞬く間にピンチに陥ります。
そこをどうやって困難を乗り越え、怪異のもたらす破滅から身を守り、対抗していくのか? が主眼になります。
自身の生命と正気を危機にさらしながら「怪異に立ち向かう」RPG、その怪異の例示を省いた抜粋ではありますが、どうぞ御覧ください。
特にシナリオの作り方、プレイのコツを記した「宇宙的恐怖をテーブルに」の章は、他のホラーRPGにも流用可能で、大いに参考になると思います。
2018年9月29日土曜日
2018年9月15日土曜日
ネイブ日本語版
ミニRPGルール&ツールセット『ネイブ(Knave)』は『メイズ・ラッツ』の作者、ベン・ミルトン氏の新作です。
2018年8月26日にDriveThruRPGでリリースされ、現在、同サイトでゴールドセラーになっています。
(※DriveThruRPGの販売ページは→こちら)
インディ・ゲームデザイナーとしてミルトン氏が作るゲームは『メイズ・ラッツ』もそうでしたが、基本的にミニサイズのオールドスクール・ファンタジーRPGです。そのシステムとプレイスタイルは「キャラメイク等での高いランダム性」「PC低レベル時の高い致死率」「使用回数制限の厳しい呪文」といった、古い時代のRPGが持っていたテイストを現在の視点から積極的に評価したものになっています。
そうしたオールドスクール再評価の傾向を持つゲームは別に氏の専売特許というわけではなく、特に旧版D&Dのシステムを流用した製品群は総じてOSR、オールドスクール・ルネサンス(またはリバイバル)と呼ばれています。
以前からOSR系デザイナーとして一部で注目されてきたミルトン氏ですが、今回の『ネイブ』はかなり直球な旧版D&Dベースのゲームです。
とはいえ同時に、その内容は氏独特の色に染め上げられてもいます。
・ファイター、クレリックといったクラス制を用いない。
・クラスがないので、PCに装備や呪文使用の制限もない。
・いくつかの能力値の適用範囲が変更されている。
・独自な呪文100種のリストが用意されている。
……等々、なかなか面白いです。
『ネイブ』はRPGを、特にD&Dを知っていることを前提に作られているので、そのルール記述は最低限で、分量はレターサイズのPDFで7ページしかありません。
ですが、そのコンパクトさの中に、D&D等のオールドスクール・ファンタジーRPG経験者であれば十分にプレイ可能なものは揃っています。
拙訳で日本語版を作成してみましたので、興味を持たれましたら、ご覧いただければと思います。
『ネイブ』は本文中に記載されているように、クリエイティブ・コモンズライセンス帰属で自由に改変、公開できるのですが、いちおうミルトン氏に日本語版の公開を打診して、ご本人から許可をいただきました。
Thank you, Mr. Milton!
2018年8月26日にDriveThruRPGでリリースされ、現在、同サイトでゴールドセラーになっています。
(※DriveThruRPGの販売ページは→こちら)
インディ・ゲームデザイナーとしてミルトン氏が作るゲームは『メイズ・ラッツ』もそうでしたが、基本的にミニサイズのオールドスクール・ファンタジーRPGです。そのシステムとプレイスタイルは「キャラメイク等での高いランダム性」「PC低レベル時の高い致死率」「使用回数制限の厳しい呪文」といった、古い時代のRPGが持っていたテイストを現在の視点から積極的に評価したものになっています。
そうしたオールドスクール再評価の傾向を持つゲームは別に氏の専売特許というわけではなく、特に旧版D&Dのシステムを流用した製品群は総じてOSR、オールドスクール・ルネサンス(またはリバイバル)と呼ばれています。
以前からOSR系デザイナーとして一部で注目されてきたミルトン氏ですが、今回の『ネイブ』はかなり直球な旧版D&Dベースのゲームです。
とはいえ同時に、その内容は氏独特の色に染め上げられてもいます。
・ファイター、クレリックといったクラス制を用いない。
・クラスがないので、PCに装備や呪文使用の制限もない。
・いくつかの能力値の適用範囲が変更されている。
・独自な呪文100種のリストが用意されている。
……等々、なかなか面白いです。
『ネイブ』はRPGを、特にD&Dを知っていることを前提に作られているので、そのルール記述は最低限で、分量はレターサイズのPDFで7ページしかありません。
ですが、そのコンパクトさの中に、D&D等のオールドスクール・ファンタジーRPG経験者であれば十分にプレイ可能なものは揃っています。
拙訳で日本語版を作成してみましたので、興味を持たれましたら、ご覧いただければと思います。
『ネイブ』は本文中に記載されているように、クリエイティブ・コモンズライセンス帰属で自由に改変、公開できるのですが、いちおうミルトン氏に日本語版の公開を打診して、ご本人から許可をいただきました。
Thank you, Mr. Milton!
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